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ねぇ、小鳥ちゃん。
本当はね、顔を切るつもりだったんだよ?
13年前のあの日の夜、俺の母が言ってたでしょ?
どこぞのハンターの狼が小鳥ちゃんに一目惚れしたって。
小鳥ちゃんも嬉しそうにしていたよね?
それが悔しくて仕方なかった、小鳥ちゃんと俺は
ずっと一緒にいられると思っていたから。
母はそのまま白狼家との縁談を小鳥ちゃんの家族に提案するつもりだった。
俺がこんな事を知っているのは前日に両親が部屋で話しているのを聞いたからだ。
俺にとって、最悪の話だったよ。
両親の寝室に火をつけようかと思ったくらい。
それをやらなかった理由は次の日小鳥ちゃんに会えなくなるからだった。
で、当日あの話を聞いてあんなにも嬉しそうにするから……
「小鳥ちゃん……」
過去に抱いた嫉妬がまた蘇る。
そして同じくらいの憎悪も。
「白狼…煌牙……。」
アイツだ、アイツに決まってる。
小鳥ちゃんを攫ったのはアイツだ。
まだ小鳥ちゃんを欲しがってるの?
俺がこうして囲っているのに…。
可愛い小鳥ちゃんをわざわざ傷付けてまでお前から遠ざけたのに…。
俺が責任を取るんだよ、俺が傷付けたから。
俺しか癒せないんだよ、あの傷は。
白狼煌牙、決してお前ではない。
今無理矢理奪い返しても、また同じことが繰り返されるだろう。
焦りすぎもよくないよね…。
可愛い小鳥は鳥籠で愛でるに限る。
まずは鳥籠を完成させないと。
俺しか開けられず、決して逃げられないような、完璧な鳥籠を。
今だけは自由にしてあげる。
だけどその後は、俺と永遠に一緒だ。
部屋を改造しないとね、小鳥ちゃんが永遠に鳥籠から逃げられないように。
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