第20話

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side煌牙 小鳥を保護してからすでに5日が経過していた。 俺と昴と如月さんは今回の事で話す機会が増えて、昼飯を一緒に食う仲にまでは進展していた。 昼飯を食って早々に俺たちは死体安置室へ行く。 あそこは唯一カメラのない所で秘密の話をするなら持ってこいだ。 最近何かと理由をつけて俺たち3人は話し合っていた、今だってそうだ。 「隊長、如月さん、接触ありました?」 昴は死体安置室を閉めた瞬間聞いて来た。 もちろん、接触とは小鳥遊蓮の事。 「俺はない。」 「私もありません。」 俺たち3人はため息をつく。 何でかって、逆に怖いからだ。 俺には到底理解できないようなえげつない想いを抱えた男が俺たちを敢えて泳がせている。 何もされない方がかえって怖い。 「何故泳がされているんでしょう。 気になるとは言え、蜂の巣を突きに行くような馬鹿な真似はできないし…。」 如月さんはもっともなことを言った。 「小鳥はなんて言ってるんですか?」 昴が小鳥のことを名前で呼び出したのは3日前のこと。 昴も如月さんも小鳥とかなり打ち解けて敬語なんか使っていない。 「今朝は、おそらくこのまま関わりあう事はないはず、とか言ってたな。」 小鳥はどこか能天気で困る。 「それは…ちょっと楽観的と言うか…。」 ほら、如月さんだってこの調子だ。 「小鳥が尋問されると聞いてハンター協会に乗り込んできた男が諦めるわけない。 あの男、マジでヤバいこと考えてんじゃないですかね…。」 昴の言葉に俺たちも賛同せざるを得ない。 本当に不気味だ、あの男は一体何を考えているんだ? 「今はとにかく大人しくしていてもらおう。 西園寺梨花の誕生日になれば分かることだ。」 あの男が何をして来ても、俺が小鳥を守らなければいけない事に変わりはない。 次こそは、必ず守る。
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