第20話

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「小鳥…そのドレス…。」 そう、そうです!そうですよ!! 「失敗したのー!!本当にどうしよう! 私本当に馬鹿よね!?どうしよう!」 「よく似合ってる。」 「へ?」 きっとお世辞よ、私がこんなにも絶望しているから慰めようとしてるんだ。 「煌牙の嘘つき!これはダメだよ…! そ、そうだ、百均で黒い画用紙を買って貼ればなんとか…」 「小鳥、そっちの方が目立つだろ。 大丈夫だ、みんなそんなもんだ。」 煌牙は千夏さんと同じようなことを言った。 「小鳥大丈夫だ、隊長の言う通りみんなそんなもんだって。行ったことないから知らんけど。」 昴は無責任なことを言い放ち私をもっと不安にさせた。 「大丈夫、大丈夫! もうこれで行くしかないんだし気にしたら負けよ! 専用タクシーもうすぐ来るから外に出てましょ!」 千夏さんは私を押し出す形で玄関へと急ぐ。 「千夏さぁん……。」 「小鳥ちゃん、大丈夫。いざという時は白狼さんの大きな手で隠して貰えばいいのよ。」 千夏さん、天才なんじゃないかな。 「確かに、エスコート風に手を当ててもらっていればいいんだ…。 さすが千夏さん!」 「まぁね、私は優秀だから。」 バサッとセットした髪を風に靡かせる千夏さんは最強に格好良かった。 私たちは年甲斐にもなくきゃっきゃと騒いで玄関を出る。 こうして連れ出してくれてよかったのかもしれない。 もしも煌牙の家に一人でいたらきっと嫌なことばかり考えていた。 私は今日、蓮様を諦めに行く。 お似合いの二人を見て、しっかりこの胸に焼き付けて帰ればきっとあなたを好きでいられないはず。 どん底まで落ちればいい、私なんかが手に出来る人ではなかったと勉強しに行くの。 パーティーが終われば私はもう自由よ。 一人で生きていけるように頑張ろう。 ちゃんと働いて、一人で暮らして、あなたを忘れる。 それが今後の目標だ。 その目標を達成するためにも煌牙との関係をしっかり西園寺様に見せつけよう。 もうあなた達には関わらない、私には好きな人がいて蓮様には興味がないのだと知らしめよう。 出来るよ、私なら。 絶対、やってやる。
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