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「い、いや、じつは……」
リュウは先日の谷口とのやりとりを全て話した。セオと瀬尾俊之が似ていると言ったこと、更につい近年比較的若い死刑囚達――つまり我々だが――の病死記録が多い件にも言及していたこと。そして……。
俺かい? 実は今、かなり危険なことに突っ込んでいこうとしているんだ。ヘタをすれば消されるかもね……。
そんなようなことを言っていた。そして、自分に何かあったらPunishersに始末をしてもらえれば、とも。
彼が情報提供者であり、セオやリュウが元死刑囚で現Punishersではないかと考え接触してきた、ということもあり得る。
モニターに映る神代の顔が、一瞬険しくなった。
「情報提供者がその谷口という男なのかどうかは、調べる必要があるな。同時に、ローガンや徳松のことなどもたらされた情報の再確認も含めて、君たちの方でも可能な限り探ってほしい。それに、情報によると、徳松の最近の裏社会での躍進を快く思わない連中もいるらしく、近々争いも起こりそうだと臭わせていた。それも気になる」
神代が話をまとめにかかっているらしいのがわかり、リュウは声をあげる。
「あの、もし、谷口さんが俺達のことをPunishersだと確信したら、どうするんですか? 谷口さん以外でも……ええと、この件とは別にだって、今後誰かに俺達のことが知られることがあるかもしれない。そうなったらどうするのか、聞きたいんだけど?」
しばし沈黙があった。
フェルムは天井を見上げ何か考え込むようにした。メディコは目を伏せる。ティナはモニターとリュウの顔を何度も交互に見比べている。
「そのあたりのことは、何も決めていなかったな……」
セオが呟くように言った。
「そうだな」頷く神代。「今ここで考える限りでだが、二通りの方法があるだろう。仲間にするか、抹消するか、だ。この抹消する場合の対象もまた二つに分かれる。知ってしまった外部の者をそうするか、それとも、君たちの内の知られた者をそうするか、だ」
明らかに空気が変わったが、誰も何も言わなかった。頷きもしない。
「では……」と言って神代の姿が消えた。モニターは真っ黒になる。
「いつ執行されるかわからないという意味では、僕らはいつまでも死刑囚っていうわけだ」
メディコのその声が、Barの薄暗い空間に溶け込んでいった。
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