プロローグ

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プロローグ

 「今回のターゲット6人、確定した。よろしく頼む」  神代弘が言い終わると同時にモニターがオフになり、その姿も消えた。  「……ということだ。何か異論はあるか?」  セオが皆を振り返る。ブルーのダンガリーシャツに隠されているが、がっちりした体躯であることがわかった。このメンバーのリーダーであり、モニターの前で主に神代とやりとりをしていたのは彼だ。  表向きセオが経営するバーだった。もちろん客はいない。仲間達だけが思い思いの場所で話を聞いている。  「異論を言ったところで、何も変わらないでしょ?」  メディコが肩を竦める。セオの斜め後ろのイスに座りながら、天井を仰ぎ見た。白衣を着ており、メタルフレームの眼鏡から覗く目が一瞬鈍い光を放つ。 モルトウイスキーを感じさせるような薄暗い室内に、彼の溜息がとけていく。  「そういうことだよな。イヤだと言ったら死刑囚に逆戻り、さ」  壁に背を預けて立っているのは、フェルム。肩を竦めながら、Tシャツの袖から伸びる丸太のような腕を軽く広げた。190㎝近い身長、体重は100㎏を超えるという大柄な体なので、その動作だけで壁が軋むようだ。  「一応、納得できない殺しは拒否しても良いとは言われている」  苦笑混じりに応えるセオ。  「納得できる殺しなんて、この世にあるのかね? ……ってそれを言っちゃあお終いだけどさ」  メディコがこぼしながら立ち上がる。スラリとした長身が物憂げに揺れた。
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