27人が本棚に入れています
本棚に追加
7
しばらく平穏に、それぞれ表の仕事、普通の日々が――本来死刑囚のリュウ達にとってそう言っていいか疑問ではあるが――続いた。
『sea breeze』が休みのある夜、店に久しぶりに集合することになった。リュウはそんな時の常として、カウンターの反対側にモニターを設置する。
セオはすでにいつもの席――モニターの正面で若干距離のある場所――に座っている。
ドアが開き、メディコとティナが一緒にやってきた。
ティナがウインクしてくる。しかし、先日のように楽しげではない。飲みに来たわけではないからだ。
最後にフェルムも現れる。彼もいつもと違い少し緊張した感じだ。
時計を見ると、22時ジャスト。神代が指定した時間になった。
セオに目配せされ、リュウはモニターや通信機器のスイッチを入れる。
神代の姿が映し出された。
「次は麻薬のシンジケートを叩いてもらおうと考えている」
おそらくカメラの方を向いているのだろう。神代が真っ直ぐにこちらを見ながら言った。怜悧な眼光で感情を推し量ることはできない。
「珍しいな」とセオが静かに応える。「いつもは個人名を並べるところだが、今回は組織か」
「個人名を特定できるところまできていない。現在私の息のかかった者達が情報収拾を行っているが、実はその動きもまた探られているようでね。慎重に進めさせている」
珍しく顔を顰めながら神代が言った。
「警察官僚の間で権力闘争か? あんたがPunishersの統括者になっているなんていうことがわかったら、失脚を望んでいるヤツは大喜びだろうな」
セオが淡々と訊く。
最初のコメントを投稿しよう!