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 「あんたの影響下にある優秀な捜査員達がこれまでのように上手く情報収集できないのは、探られているからだけなのか? もしかして、相手が面倒なヤツだからでは?」  セオが探りを入れるように訊く。  「それもある」  あっさりと認める神代。そして説明を始めた。今回のターゲットとなるシンジケート。そこは最近、東京や横浜を中心にEh(エイ)と呼ばれる麻薬を急激に蔓延させている。これまで尻尾がつかめなかったのだが、あるスジからの情報によると、カナダの外交官が絡んでいるという。  「外交官か。それは確かに面倒だ。ヘタにつつくと国際問題にも発展しかねない」  メディコが険しい表情をしながら首を振る。  「うむ」と微かに頷いてから続ける神代。「前回のターゲットだった遠山達は、その組織からEhを仕入れて流していた。なのであの件は揺さぶりをかける狙いもあった」  「やっぱりそうか……」  苦笑しながら、メディコとセオが目配せし合った。  「あの後、情報にあった外交官に動きも見られたので、それが真実味を帯びてきた」  「あるスジ、っていうのはなんなんだ? 信用できるのか?」  セオが訊く。得体の知れない者からの情報などで動くのは危険だ。  「匿名で神奈川県警、警視庁、警察庁へメールと添付したデータが送られてきた。Ehに関することだ。当初はどの部署もいたずらだと思ってとり合わなかったが、私の部下が目にして気になり、警察内の情報と照らし合わせたところかなり精度の高いものだと判断した。送り主は名を伏せているが、一応ジャーナリストだそうだ」  ふうむ、と難しそうな顔をするセオ。彼も元優秀な警察官だったからわかるのだろう。そうやって、正義感の強いジャーナリストが、記事にできないが看過もできない悪事の情報を警察に流してくることは、稀にある。  「外交官の名はウェイン・ローガン。カナダ大使館では一等書記官を努めている。その男が外交特権を利用してEhを持ち込んでいるらしい。日本でそれを流通させているのが、一般企業の皮を被った経済ヤクザ『Far East Agency』だということだ。これが確定となれば、ローガンと『Far East Agency』をとり仕切っている徳松喜一は間違いなくターゲットとなる。徳松配下の者数名もそうだろう。それに……」  歯切れが悪そうになる神代。
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