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「それに?」
セオが先を促す。
「その情報によると、警察庁内にもローガンや徳松に協力する者が存在するとされていた。誰なのかまでは突き止められていないが」
「神代さんの同僚、ってワケだ。なるほど、いくら外交特権があったとしても、大がかりな麻薬の流通なんてさせるわけにはいかないからね。逮捕はムリとしても、公安が動いて何とか処理しようとするだろう。それさえも抑えるとなると、警察官僚の誰かじゃないとできないね。明らかになれば、そいつもターゲットか……」
メディコが言うと神代は頷いた。
今、警察庁内には、パトリオットの会を疎ましく思い潰そうとする勢力もあれば、麻薬シンジケートに協力する者もいるのか。正義の砦のはずが、伏魔殿みたいだな……。
リュウは思わず溜息をついた。
「それにしても、その匿名のジャーナリストっていうのはすごいな。そこまで調べ上げるとは、警察も形無しじゃないか?」
フェルムがどこか嬉しそうに言った。
「無事ならいいけどね」
メディコがこぼした言葉にフェルムやティナが息を呑む。
「確かに、外交官や警察官僚に麻薬密売への協力者がいるなんていう記事は圧力で抑えられそうだし、調べた人間は命を狙われる可能性がある」
セオがそこまで言ったところで、リュウはハッとなった。1人の男を思い出したからだ。
まさか、谷口さん――。
「どうかしたの?」
リュウの顔色が変わったのに気づき、ティナがのぞき込むようにしてくる。セオをはじめ他の3人も、気にして視線を送ってきた。
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