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 「Ehとやらがここに運び込まれて、売り捌かれていた可能性はあるな」  「うん。もう使われないでしょうけどね」  頷き合い、2人は少しまわりの様子を見ながら歩いた。  「ねえ、Ehっていう名前、意味わかる?」  不意にティナが訊いてきた。  「さあ? そういえば、意味なんて考えたことないな」  首を振るリュウ。  「カナダのスラングなんだよ。○○だよね? とか、○○じゃない? って同意を求めるときに語尾につけるの。Tina(ティナ) is(イズ) so(ソー) cute(キュート). Eh(エイ)? っていう感じで」  ふふっと笑いながらティナが説明する。得意げだ。  「なるほど、カナダから流れてくる麻薬だからそうつけたのか。単純だな。それ、メディコに教えてもらったんだろ?」  「ち、違うよ、最初から知ってたもん」  ムッとするティナ、しかし瞳が泳いでいる。嘘を言っているときのクセだ。  「ちなみに最後の例文、ティナってすごく子供みたいだよね? っていう意味か?」  「この、意地悪っ!」  ティナが蹴りを入れようとしてくるので、リュウは慌てて逃げた。  そんなふうにふざけ合っていると、リュウは行き交う人々の中に見知った顔があるのに気づきハッとなる。  「どうしたの?」  「あれは、谷口さんだ」  リュウの視線の先には、確かに彼が歩いていた。
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