プロローグ

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 「目立たないように気をつけろよ。また荒っぽいことが必要になる」  津賀が釘を刺すように言った。  「そしたらそれでまた、俺達が儲かるってわけだな。ハハハッ!」  羽下が愉快そうに声をあげた。  その時――。  「悪いなぁ……」  広い店内に、突然女性の声が響いてきた。  「誰だっ!?」  叫ぶように誰何する羽下。  彼の横に素早く移動し、凶暴な仲間3人が身構える。  「うふふ……。悪い人達には、罰を与えなきゃね?」  バックヤードへ通じるスイングドアが軽く開き、若い女が顔を出しながら言った。琉装(りゅうそう)というのか? カラフルな沖縄の民族衣装らしきものを着ている。こちらを覗き見る顔は美しい。  「誰だ、おまえは?」  羽下が更に問い詰める。  「ふふ……。誰でしょう?」  小首を傾げながらウインクすると、女はスッと身を退く。スイングドアが閉じた。  「捕まえろ」  指示を出す羽下。蒲田と村山、そして阿川が素早く動いた。  津賀と遠山が怪訝な表情で見ている。  「なかなかいい女だった。頭のイカレた売れない女優の変わったプロモか?」  遠山が下卑た笑みを浮かべる。  「かもな。だが、なんだか妙な空気だな……」  悪党特有の感覚がある。羽下は不穏な流れに巻き込まれたように感じたのか、顔を顰めた。
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