プロローグ

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 「きゃっ! 恐いなぁ……」わざとらしく脅えた仕草をするティナ。「でも、お仕置きが必要なのはあなた達だよ?」  彼女がそう言った途端、バキィッ!と音が響き裏口側の壁が砕けた。そこから太い腕がグッと飛び出してくる。  「うがぁっ!」  叫び声をあげたのは村山だった。突然現れた手に首を掴まれ、体ごと持ち上げられている。  バキバキバキッ!  壁が更に壊された。巨体の男、フェルムが姿を現す。右腕で村山を掴んだままだ。  「ゴミ掃除の始まりだ」  フェルムはそう言いながらグッと右手に力を込める。  ボキッと音がして、村山の首が折れた。  あがっ?!  妙な声を最後に、村山の体がただの物体に変わる。フェルムが手を放すとドサッと落ちた。その様はまさに粗大ゴミのようだ。  「うっ!」  慌てて後退る蒲田と阿川。  ティナがサッと距離をとりながら素早く両手を動かし、袖から何かを2つ取り出す。  (てのひら)に収まる程度の小型ブーメランだった。彼女が宙に放つとまるでツバメのような速さで飛び、蒲田と阿川の首付近をまわって戻ってきた。  ブーメランをしまい2人に向かって「バイバイ」と手を振るティナ。  「……?」  呆然として目を合わせる蒲田と阿川。直後、2人の頸動脈から血飛沫があがった。ブーメランに埋め込まれていた鋭い刃によって斬り裂かれたのだ。  「ぎゃあぁぁっ!」  断末魔はほんの一瞬だった。2人は壊れたオモチャのようにその場に崩れ落ち、二度と動くことはなくなった。  ティナとフェルムは頷き合うと、何も言わずに裏口から出て行った。
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