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うん、だって。かわいい! 大きな背中しか見えなくて、表情が分からないのが残念だ。どんな顔してるのか見たいのに。
「誰かいる」
塾には入らず、入口で誰かが待っている。二人乗りの私たちを見て、手を振ってくれた。
「友達だよ。約束してたから」
私がふふっと笑うと、キキーッとブレーキ音をたてて止まった。
「駿くんに連れてきてもらったんだ」
「うん、自転車パンクしてたから助かったよ」
スカートを気にしながら荷台から降りた。まっすぐ足をピンと伸ばして、駿は自転車を支えている。
「駿くん優しいね」と声をかけられて、駿はヘルメットの位置を直しながら「どうも」とこたえた。
「そうだ、今度うちで勉強しようよ」
私が誘うと彼女はぱっと笑顔になった。
「うん、行く行く!」
「駿のナポリタンおいしいから、作ってもらおう!」
ニヤニヤしながら駿をチラ見した。「え!?」とビックリしている様子がこれまたかわいい。
「え、駿くん料理できるの? すごい!」
「簡単なものしか作れないですけど」
褒められて照れている駿がかわいすぎる。溢れる感情が抑えきれずに笑みがこぼれた。
「駿、乗せてくれてありがと! じゃあね」
ご機嫌な私は胸元で小さく手を振った。「あぁ」と軽く返事をすると、駿は片足をペダルに乗せた。
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