1.出会い

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1.出会い

ある日、それは道に落ちていた。 私が家に帰るために、細い裏路地を歩いていたときのことだった。私がたまたま下を向かなかったら、踏んでいたかもしれないほど、小さく目立たなかった。   それは、もぞもぞと動いていたから、"いきもの" なのかもしれなかった。けれど、薄汚れていて傷だらけ。形も丸とも四角ともとれるような曖昧な形をしていた。 私は興味を惹かれて、しゃがみ込んだ。いきものだとしたら、目とか耳とか手足とか、それに相当するものがあるはずだからと恐る恐るあちこち観察してるうちに、それは突然ひっくり返った。 「うわああ」 私はとても地味に尻もちをついた。つぶらな2つの目がこちらを不思議そうに見ていた。何かを明らかに訴えていた。私は話しかけてみた。 「こんにちは。あなたは誰?」 それは何も答えなかったが、まばたきを2回した。こちらの声は聞こえているようだ。なんだか可愛らしく思えてきた。 ―――雨が降り出した。 私は帰る途中だったのを思い出した。私はそれを抱きかかえて立ち上がり駆け出した。服が汚れることなんて気にならなかった。
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