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『さあ、購入して快適睡眠ライフを送りましょう!』 『いやいや、そんなすぐに変わらんだろう』 『大事なのは、行動することです』 『こんなものに、金をかけるのはムダだね』 『想像してみてください。体の重みが分散して、スムーズに寝返りができる姿を!』 『一番大事なのはさ、現状維持じゃないかい?』  口ではどうにもならないと思ったのか、二人は取っ組み合いを始めた。  服を引っぱり、髪を引っぱり……それでもなかなか決まらない。 『あのですね』  そう言って、先に手を止めたのは天使だ。  天使が、悪魔の服をつかんだ手をグイっと引き寄せたため、お互いの顔の距離が近くなった。  真顔で続ける。 『毎日毎日、夜遅くまで頑張っているんです。その頑張りは——金額で示すべきではありませんか?』  顔で圧をかける天使。  数秒の沈黙のあと、悪魔が一言。 『…………たしかに』
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