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とある世界で魔王が討たれた。小さないざこざは残ったが、世界は平和になった。
これで物語はハッピーエンド…?
「かーっ!負けちまったかぁ!!」
「ふぁふぁふぁ。これで6勝1敗じゃな。」
世界は平和になった。…では、この世界の外側はどうだろう。人々が信じる神や、災いをもたらす悪魔はどこにいるのだろう?
「どうじゃ?もう一戦やるかの?」
「いやぁ今日はもういいもういい…だいぶ酔いも回っちまった。」
この世界「も」、彼らには酒場のテーブルで行われる賭博の一つでしかない。
「世界は残すかの?」
「あぁ!そうしてくれ。おーい、そこの。これ残しといてくれ!」
「かしこまりました。保管料はどちらが?」
「わしが持とう。今日は懐が温かいからのう。」
彼は、ふぁふぁふぁ、と笑いながら革袋を掌で弾ませた。
「っ!次は勝つからな!」
「お気をつけてお帰りくださいませ。またのご来店お待ちしております。」
足早に去って行く背中に、礼儀正しくお辞儀をして、店員はボードを片付けた。
ここは、「世界の外側」。人々が神だの悪魔だのと呼称する者たちが住まう場所。そしてこの物語は、そんな彼らが通うとある酒場のお話。
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