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五月中旬。雲一つない快晴の中、皐月真琴の通う高校では体育祭が開催されていた。三年生である真琴にとっては最後の体育祭である。
(悔いのない体育祭にしないと……!)
体育祭では各学年の一組と二組が赤組、三組と四組が白組となり、各種目で競い合う。そしてポイントの多い組が勝利するのだ。真琴は赤組である。
「間もなく、クラス対抗リレーが始まります!出場する選手の皆さんは、入退場門の前まで集合してください!」
男子によるムカデ競争、女子によるダンスの次が真琴の出場するクラス対抗リレーだ。真琴は友達に「行ってくる」と声をかけ、門へと向かった。
「頑張らなきゃ……!」
今のところ、赤組と白組は同点である。リレーで点数格差をつけたい。真琴が拳を握り締めながら歩いていると、頭にグッと重みが乗った。
「ちょっと、何すんのよ!」
「悪いな。いい肘置きがあったもんで」
ニヤニヤと真琴に向かって笑いかけているのは、同級生で白組の緑川零だ。褐色の肌に茶髪の髪の零を真琴は睨み付ける。
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