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一時間、二時間、三時間━━━━
一日、二日、三日━━━━━━━━━━━
一週間、二週間、三週間━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
やがて、控訴審の日程が近づいていることを感じる。
私の脳内に、若干の焦りが現れ始めた。
しかし、ツォンもまた、疲弊を露わにしていた。
「なぜだ、なぜそこまで耐えられる‼」
私は、フッと肩を竦める。
「侮るな。お前の攻撃など、実君には遠く及ばない。」
なぜ私はこんなことを口にしたか、それは分からない。
だが、彼女のプライドを刺激するには十分だったようだ。
「ならば思い知らせてやる。
ガジェットのパワー残量を、全てこの一撃に‼」
ツォンは、バックパックをパージし、背部から巨大砲台を照準させた。
⁉
おいおい、まだこんな奥の手持っていたのかよ・・・・・・・・・・・・
ツォンは、私のリアクションを待ってくれない。
「これで終わりにする。
滅びよ、ディザスターブレイク‼」
次の瞬間、その地域一体が、超出力ビームの餌食と化した。
町は焼き払われ、その神々しい光が、あたり一面を照らした。
当然、私の肉体も消失。だが再生。
このまるひと月、延々と繰り返されたことだ、なんら変化はない。
だがしかし。
彼女の攻撃は、それで終わりではなかった。
「ウッ⁉」
次の瞬間、私の上腹部に激痛が走った。
このひと月で、初めて悲鳴を発したであろう。
その拳は、当然ツォンのものであった。
今さら、ただのパンチなど・・・・・・・
しかしそれは、一味違った。
私は、痛みに悶絶する。
「“死”から復活した瞬間、“死”にギリギリ届かない攻撃を放った。
老田不々美、お前は未来永劫、その痛みに苦しむことになる。」
なお、後で知ることになるのだが、ツォンは、東方武術の皆伝でもあった。そして今のが、その奥義だったのである。
ツォンは、勝利を確信した笑みを浮かべる。
だが。
私は嗤う。
あの言葉を繰り返す。
「言ったはずだ。お前の攻撃など、実君には遠く及ばない。」
それを聞くや否や、ツォンは崩れ墜ちた。
殺される側が精神をすり減らすというのは、同時に殺す方もまたダメージを受けるのだ。
どんな人間であっても。
オカルトにはなれない。
「貴様は・・・・・・どこまで・・・・・・」
ここに、勝敗が決した。
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