ベルンシュタインの魔女は人間を愛したかった

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 そして、あまりにも色々ぶっとんだその台詞に、リヒトとシマーはぶっと茶を吹き出した。魔女は茶を飲んでなかったからこそいいものの、飲んでいたら確実に吹き出してしまっていただろうというほど「えっ!」と甲高い声を上げて硬直した。アードルフは一人平然としているが、シマーは激しく咳き込み、リヒトは動揺して立ち上がる。 「お……前、何言ってんだ!?」 「何って、もう俺達二十二歳だろ。いい年じゃないか」 「だからってなんでコイツなんだよ!」 「愛に種族は関係ないだろ」 「いや……でも……その……ほら年! 年を考えろよ! コイツが何歳だと思ってやがる! 百年超えてから年齢なんて数えてませんのババアだぞ!」 「そんなこと思ってたの、リッくん……母は悲しい……」 「母とか言うんじゃねーよ気色悪い!」 「で、ロルベーア様返事は?」 「いや……あの、あの時も言った通り、その、ちょっと無理かなー、なんて……」 「なんで?」 「怖い! アードルフくん真顔になったよ今! やめてよ怖いよ!」  魔女は一生懸命誤魔化してみせるが、リヒトとアードルフは睨みあい、薄々リヒトの感情に気付いてはいたもののアードルフまでそうだとは思っていなかったシマーは一人頭を抱えた。美女など選び放題の地位と名誉を持つ二人が、なぜよりによってこんな変な魔女に懸想(けそう)してしまっているのだろう、と。 「大体お前関係なくない? 俺がロルベーア様に言ってるだけだし」 「関係あるだろ! なんでお前ちゃっかり言い寄ってんだよ! つかそれ言った時に何かしてねーだろうな!」 「何かしてたとしてお前に話す義理ある?」 「したのかよ!?」 「してない! 何もしてないからそういう紛らわしい言い方しちゃだめだよアドくん!」 「やっぱロルベーア様って柔らかくて抱き心地いいんだなーって」 「アドくん!」 「何かしてんじゃねーか! ふざけんなお前表出ろ!」 「リッくんもまぁ落ち着いて……」 「で、ロルベーア様、返事は?」 「断ったよね!? 頷くまで訊き続けるその姿勢やだよ怖いよ! どうりでシュタイン王国の最恐軍師なんて噂が私の耳にまで入るはずだよ! シーくんどうにかして!」 「どんな民のどんな嘆願よりも受け入れがたいですね」
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