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日付が変わる直前の真夜中、彼女と電話で交わした最後の会話は今でも明確に覚えている。
『薫……会いたい。今すぐ……ほんの数分でもいい、一瞬だけでもいい。会いたい!』
『ごめん。明日には必ず行くから、本当に今日はごめん』
電話越しでも、彼女が泣いているのはわかった。
それでも俺は気付かないフリをし、冷たく電話を切ってしまった。
まさかそれが最後になるなんて、どれ程後悔をしただろう。
あの日から夜の数だけ思い出し、夜の数だけ涙を流し、夜の数だけ後悔した。
初めて会ったのは、入学したての高校一年生。
俺とは"夢で出会った"なんて笑いながら言っていた。
最初は変なヤツだなんて思っていたが、クラスは違ったけど休み時間や放課後など長い時間を共に過ごす内に、いつの間にか徐々にその純粋さに惹かれるようになっていた。
二人が出会って最初のクリスマスは、まだ友達同士で付き合っていなかったので一緒には過ごさなかったが、"サンタさんがまだ来ない"なんて涙目になっていたり、翌年の年明けすぐにはお年玉いっぱい貰ったなんて満面な笑みを浮かべる彼女を、俺は誰にも渡したくない……俺が護りたいと強く想った。
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