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「……ッ!」
俺の叫びに対し、彼女は驚いて振り向いた。
やはり間違いない、そこにいたのは彼女で間違いなかった。
俺は人混みを掻き分け、彼女に駆け寄り、それに対して彼女はフリーズしている。
「蘭菜……!!」
そして俺は有無を言わさず、人目も気にせず、いきなり彼女を抱き締めた。
話したい事は沢山あった筈なのに、いざ彼女が俺の腕の中にいるのに言葉が見付からない。
しかし、直後に彼女から発された言葉に俺は絶句する。
「あの……あなた、誰ですか?離してください……!」
「……!?」
彼女の言葉に驚きを隠せず、俺は咄嗟にバッと離れ、改めて彼女の顔をまじまじと見詰める。
「蘭菜……だよな?」
彼女の名前は"村崎蘭菜(むらさきらんな)"。
歳は俺と同じで、初めて出会ったのは高校一年の入学式、そして最後に話したのは三年前のクリスマス。
今目の前にいる彼女は、三年前に突然消えた彼女で間違いない……間違いない筈なのに、
「離して下さい!離して!」
彼女はまるで俺を知らないといった態度で、俺を拒絶して突き飛ばし、そのまま逃げるように走り出す。
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