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「蘭菜……なんで戻ってきたんだ?」
彼女は本当に俺を覚えていない……それどころか、やはり何かがおかしい。
「ここへ来れば……私を知ってる"誰か"に会える気がして、漸く出会えたのがあなたでした」
「……?」
話が絶妙に噛み合っていない気がする。
俺達はそのまま少し歩を進め、近くにあった噴水脇のベンチに腰を下ろす。
街はクリスマスムードの為、派手なイルミネーションに囲まれたここはカップルが何組も屯しており、俺にとっては懐かしい雰囲気だったのだが、彼女にとってはそうではないらしい。
「だから……少し、話を聞かせて貰えないですか?」
俺のすぐ横で腰を下ろし、三角座りする彼女。
漸く落ち着いて会話を交わす事が出来た俺は、幾つかの疑問をぶつけた。
今まで何をしていたのか、どうして突然俺の前から姿を消したのか、もしかして記憶を失っているのか……しかし、それに対し彼女は、一つとして答えない。
それどころか、彼女は逆に俺に質問を投げ掛けてくる。
「あなたは……私とどういう関係ですか?今の私は何をしているか知っていますか?」
「……!」
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