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「朝比奈さんも小説に興味あるの?」
恐る恐る聞いてみた。
「まあね。でも、あんまり言わないでね。ほら、私の周りってこんなじゃん。絶対キャラじゃないって言われるからさ」
確かに、朝比奈さんのグループは授業さえまともに受けているのか怪しい程、才能をコミュ力に全振りしている感じだった。
「それで、教えて欲しいんだけど、どうやって書けばいいの?使い方とか教えて」
机に私のスマホと朝比奈さんのスマホを並べて、小説投稿アプリの使い方を教えた。
「ここをタップして、こうすると作品が投稿できるの」
「へぇ〜、すごいな。それで、久野の作品はどうやって読めるの」
「う!やっぱり読むの?」
「そりゃ、興味あるもん。同じクラスの久野がどんな小説書くのか」
そう言われたのが少しだけ嬉しくて、頬が緩む。
「読むのは、広告が邪魔になるけど、ここをタップして、ページはここをタップすればいいよ」
「なるほどね〜。で、この下のマークを押すといいねが送れると」
「うん」
すぐに私の作品にいいねが飛んできた。
「あ、ありがとう」
「ああ、いや、ごめん。まだ読んでないけど、押しちゃった。でも、すぐに読むから」
こんなに面と向かって読む読む言われると、どんどん気恥ずかしくなっていく。
「いや、無理に読まなくていいよ。そんなに面白くないだろうし」
「いやいや、そこは読ませてよ!私だって楽しみにしてるんだから」
うぅ、調子が狂う。朝比奈さんの甘い香りもあるのか、ふわふわとした感じがずっとしている。
「比奈〜、行こ〜」
廊下から声がした。
「おぉ!すぐ行く!じゃ、優芽。これからよろしくね!」
そう言って、朝比奈さんは教室を出ていった。なぜか下の名前で呼ばれたことがすごく嬉しい。
朝比奈さんが出ていった扉を見つめた。あれはなんだったのか。夢か幻か。それは分からないが、確かなのは私に一人フォロワーが増えたことと、フォローが一人増えたことだった。
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