4.お祝い

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4.お祝い

 その数週間後のこと。 「見て見て!これ!受賞しちゃった!」  それはこの前応募した賞だった。賞金まではいかなくても、講評がもらえる上位の賞だった。  そのことはすでに知っていた。私も落選したが応募していたし、発表された時に見ていた。そして、比奈の作品にお祝いコメントも送っていた。 「おめでとう!初作品で受賞するのは、すごいことだし、比奈には才能があったんだよ」  そう言って少し後悔した。比奈は、長く書いてる私よりも上手くて、賞も早く取ったから、悔しかったし羨ましかった。だから、才能なんて言ってしまった。比奈だって努力したはずだ。それを才能だって片付けようとしてしまった。 「エヘヘへ、そうかな。それに、ほら、これ見て」  比奈は私の後悔に気づかずにスマホを指さした。そこには他の人のコメントが表示されていた。そこには書籍化経験のある人や受賞が常連になっている人たちがいた。 「えっ!すごい!この人たちからお祝いが来てるの!?」  コメント内容を読むと、比奈の作品が好きであることや、次の作品を期待する声が多く絶賛だった。 「どうして……?」 「ん〜、今までの受賞作読んで、コメントしたら返ってきたんだ」  信じられなかった。私も同じことをした。でも、私には返ってこなかった。  比奈がンフフフと嬉しそうに笑ってスマホを見ている。もう一度さっきのコメントを読んでいるのだろう。  私だって他の人に負けないくらい彼女の作品は好きだ。そう伝えても、彼女は「えへ、ありがとう」と言うだけで、すぐにスマホをニヤけた顔で見ていた。
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