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5.反応がほしくて
少しずつ、比奈が私の席に来ることが少なくなった。
作品は作り続けているようで、新作投稿のお知らせがくる。そのどれもが面白くて、私の作品なんかつまらなく感じた。
コメント数も増えていて、そのメンツも上澄みのような人たちばかりだった。
ふと思いたって、他のSNSで比奈のペンネームの「朝日奈」で検索してみた。
「朝日奈」はすぐに見つかった。フォロワーに比奈の作品にコメントした人がいたことや、その人の投稿に比奈の作品を紹介するものがあったから、特定は簡単だった。
悪いとは思いながらも、比奈が誰にどんなコメントを送っているのか読んでいった。
比奈のコメントはどれも楽しそうで、相手への気遣いと尊敬と嬉しさで溢れていた。
それを読んでいると胸がグラグラしてくる。そんな言葉、私には言ってくれなかった。
もっと頑張らないと。
比奈に認めてもらえるような作品を書かないと。
それから今まで以上に本を読み、執筆していった。でも、どれも反応は良くなくて、落選が続いた。さらに、比奈からのいいねもなくなっていった。
それでも、私は比奈の作品を読んで、いいねを送り、コメントを残した。そのコメントにはいいねが来るが、そこまでだった。私の作品には反応がない。
作品を投稿して、もしかしたら比奈がいいねをくれるかもしれないと、数分おきにページを更新してしまう。お知らせマークがない度に落胆してアプリを閉じるが、すぐまたアプリを開いてしまう。そんなことを繰り返してしまう。
比奈からのいいねが欲しかった。比奈からのコメントが欲しかった。比奈からの反応がほしかった。
次の作品にはきっと反応してくれるだろう。そう信じて、作品を作り続けた。
それが突然、何も書けなくなってしまった。
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