6.私なんか

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6.私なんか

 書けなくなっても、誰も何も反応はなかった。これが比奈なら、きっと誰かがコメントを送るだろう。  比奈は変わらず新作を投稿していた。  一時期、比奈から離れようと、比奈の作品やコメントを読まないようにしたことがあった。  昔に戻っただけだ。今まで一人だったじゃないって自分に言い聞かせた。  でも、飢えに近い好奇心からSNSで比奈を探してしまう。そして、比奈が楽しそうに誰かと話してるのを見て、また自己嫌悪に陥った。  比奈の才能はしっかりと育ち、入賞する作品が増えていた。そのことをSNSで発信され、周りが祝福を送っている。一瞬私も送ろうかと思った。でも、今の私なんかが送れる言葉はなかった。彼女の周りは書籍化や様々な受賞歴のある人たちばかりだ。そこに私の言葉なんか入る余地はない。
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