最期の瞬間(トキ)

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 やる事がなく暇なので天国を探検してみよう……。  見渡す限りの真っ白な世界。果てがない永遠と続いているような世界。何もない世界。  ──探検終了………。  どうやら楽しみは池の中の下界を覗くことだけらしい。  ──おっ!さっきの天使だ。どうやら死んだ魂を迎えにいったようだ。下界でフワフワ浮いている魂を虫捕り網のようなもので捕まえている。その魂を籠に入れた。虫扱いされているのか……  見なければ良かったと内心思う。  天使の姿は人間には視えないようだ。  毎日毎日やる事がないので天使の観察をすることにした。そしたら、どうやら僕が今いる場所はまだ天国ではないことに気づいた。  なぜかというと天国に行くと決めた魂を別の場所へ連れていく天使を尾行したから気づいたのだ。  噂によると天国は本当に天国のように極上のところらしい。毎日美味しいご馳走に、極上の楽しみ。とにかく天国らしい。    49日に近づいてきたようだ。天使がやってきた。僕はそろそろ決断をしなければならない。最期の決断。そんなのはもうとっくに決まっている。  どう考えたって天国に行き、生まれ変わるのを楽しみに極上の生活をするのが幸せに決まっている。誰が迷うんだ?迷うやついるのか?  ということで僕は最期の瞬間(トキ)を天国で過ごすと天使に告げた……。
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