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「うわああっ、また失敗しちゃったぁ…」
部屋全体に広がる、焦げ臭い匂い。
彼女の名前は『ソーレ』魔女見習いだ。
「お母さんなら出来てたかなぁ…
んま、諦めずに頑張るか……」
「…なんでこんな焦げ臭い匂いが…?あ、どうしたのそんな困った顔して、ソーレ。」
「あっ!ロイ~~っ!! …魔法が上手くいかなくて… ここら辺ほとんど焦げ臭くない? ほんと申し訳ないなぁ……」
彼の名前は『ロイ』、ソーレよりも魔法が使えてドーナツが好きな男の子。 ソーレの幼なじみだ。
「この焦げ臭い匂いは君のせいか…大丈夫だよ。今度は一緒にやろうよ ソーレが成功した所一回も見たことがないもん。」
「ほーんとロイって優しいよねぇ… ってひどくないっ!!?私だって成功したことあるし〜っ!!!」
むすっとした顔でロイを見る。
「ぷふっ、なあんだその顔~っ…あっ、ソーレは何が作りたいの?」
「うーんとねぇ…かわいいくて小さな動物が作りたいなぁ、ほら、リスとかさ。」
「リス…うんうん、じゃあコブの実とワームを粉々に潰したやつをミキサーで混ぜてみてよ。」
「ふむふむ…コブの実は確かここのダンボールに… 、っあ!これだよこれこれぇ~っ♪」
コブの実は名前の通り、タンコブの様にボコッとしている所がある実のこと。
味は美味しいが周りが硬くて、重いハンマーを使わなくちゃ開かない。 寒いところで作られており中は真っ白でポカポカする甘い味がするらしい。
「次はワームだね、どこにあったっけ…?」
「ふん、私はさっきワームを使ってやったからね。焦げ臭かったやつ… ここだよ~!♪」
ワームは種のような形をしていて、日光が当たるところの木になっている。
英語でワームは 暖かい というところが名前の由来。 暖かい地域で作られており、ずっと日光に当たっているので外側はとても暖かくてモフモフしているのだ。
ソーレがほっぺにワームをすりすりとあてながら言う。
「ふわぁ~っ! やっぱワームは暖かいなぁ~♪」
「暖かい地域で作られているからな。
っあ、はやくリスを作ろうよ」
「…うぁあ、そうだった… ていうか、コブの実このままミキサーに入れたら硬くてミキサー壊れちゃうんじゃない?」
「大丈夫!割るんだ!」
「ええっ!?コブの実をっ!? …ピコピコハンマーならあるんだけど…」
「大丈夫、俺が出せるよ」
ケイの手にあっという間に綺麗なハンマーが現れる。
「そおらっ!割れろぉっ!」
パキンッ……
っという音がたち、気づいた頃にはもう割れていた。
「うわあっ!ロイ、すごい…!!✨️」
「ふふん、任せな… ってハンマーにもヒビ入ってる…!!? 」
「やっぱコブの実って硬いしねぇ…とほほ~…」
「…そんじゃ、ミキサーで混ぜるぞ!」
「うぉーっ!」
ミキサーの中にコブの実とワームを入れ、蓋をしめる。
「いけぇーっ!混ぜろーーぃっ!!」
カチッ…
___数分後
「うぉ~っ!✨️ …くんくん…ってぐっざ!!? ぺっぺっ…」
急いで鼻を抑える。
「ああ、ワームとコブって相性悪いからな。 寒いところと暖かいところで作られたものを混ぜるの臭くなるんだ。」
「へぇ…初めて知った…そんで、これからどうやってリスができるの?」
「ああ、そうだった、ソーレ。
君は『ニコニコフレイム』が使えるだろう、笑うと笑顔の形をした炎が現れるやつな。 それを使ってこのコブの実とワームを燃やして、この魔法の粉ひとすくいを入れれば出来るはずなんだ。」
「ほほう…、やっとあの魔法が使える時が…! ………んじゃ、行くよ。ニコニコ、フレェエイムッ!!」
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