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新しい先生
一学期の途中のこと。
3年1組担任の太田先生が子供が産まれるので、今日からお休みに入るのだそうだ。
本当は休みに入るのは、まだまだ先の話と聞いていたが、急に教頭先生が来てそう言った。太田先生の体調が、とか言っていた。
しばらく教頭先生が授業をしてくれていたけど、それも何日かで。
すぐに新しい先生が来てくれた。
新しい先生は若い男性だった。
女子も男子も、教壇に立つ、見慣れない先生に興味津々で、教室はいつまでもざわざわしていた。
新しい先生はユウキ先生だった。苗字は忘れた。
僕は最初はユウキ先生のことをまじまじと見られなかった。横目でちらちらと確認するだけだ。
だって先生の背中に、大きな白い白鳥のような折りたたまれた羽が見えたんだ。その羽を見ないようにするには、視界に先生を入れないって方法以外、思い浮かばなかった。
「フライングヒューマノイド??!」
最初に先生を見た時、思わず声に出してしまった。
「カズヤがまたなんか言ってるよ。」
クスクスと小さな笑い声があちこちでもれた。いつも僕が何かを言うと、クラスはこんな感じだから、気にしない。
フライングヒューマノイドは羽がない。それがみんなの意見なのは知ってる。でも、僕には羽のイメージが強いんだ。
僕とみんなの見えてるものが違うから、僕がユウキ先生の事を言ってるって、誰も気が付かなかったんだ。
当の本人以外は。
ユウキ先生は僕の声に少しだけ驚いた顔をしていたけど、すぐに優しい微笑みに変わった。
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