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新の漫画はきちんとほしいと思っていたものだった。新のものに関しては何の問題もない。問題はみずきがこの大雨の中、本屋に行って買ってきたものだった。
みずきが買ってきたのは漫画や小説ではなく、一冊の雑誌だった。ウェディングドレスを着た女性が幸せそうに笑っている結婚情報誌である。その情報誌はCMでもよく見かけるもののため、新でもよく知っているものだ。
「みずき、結婚したいのかな……」
新の指先が微かに震えていくのがわかった。結婚。恋人が夫婦や家族として生活していくことだ。同棲すれば恋人を卒業するゴールとして結婚が待っており、大抵の人はそのゴールを待ち遠しく思っているのかもしれない。しかし、新は逆だった。
(こんな僕にみずきを幸せにしてあげられるのかな。結婚なんて考えたことがなかったよ)
みずきと家族になることができたら、そう頭に浮かんだことがないと言えば嘘になる。しかし、新は結婚に踏み切れないままでいた。
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