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「知ってるさ、大井義憲、28歳、A型」
「公衆の面前で繰り返すな」
「小学校は柔道。中学はサッカー。高校からはラグビー。ふっ、一貫性がない」
「どれもこれも才能がないことが分かった時点で見限ったんだ。で、何だよ?」
「お前に必要なものを譲りたい」
「いらん。どうせ詐欺だろ?」
「詐欺なんかじゃないさ。いいのかい? きっと後悔するよ。本当にお前さんに必要なもんさ」
必要と言われ、ついつい屋台に歩み寄ってしまった。
水晶玉かお札でも見せられるのかと思ったが、占い師が差し出したのは袋をかぶっていたがスマートウォッチだった。
確かに少し欲しかった。
「いくらだ?」
一応聞く。どうせ、高くて買えない。
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