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 占い師が僕に百円で売ったのは変身もできるスマートウォッチだった。エンジェルと記されていたのは、とどのつまり"エンジェル"つまりは天使に変身できるから――だそうだが、簡単に信じるほど僕は単細胞ではない。  そもそも変身できようができまいがどうでもいい。  家に帰り、袋からスマートウォッチを出す。本体に重ねるように折り畳んだ紙――お粗末な説明書き――があったが今は無視。とりあえず時計を腕にはめ、本体側面のボタンを長押しする。  数秒後、Welcomeの表示。しばし待つと画面が明るくなる。  おぉ、という声が漏れた。この瞬間まで僕は半信半疑だったのだ。画面なんてつかなくて、ただのガラクタなんじゃないのかと。
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