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第一章・記憶の化石・第一話
一日の始まり。
青白い恒星が水平線を越え、森を照らし始める。
この地の森は太古の時から、姿も、生命の営みも変わらない。
樹齢一万年を超えると伝わる「シェニムの大樹」も、一年百回、百万回以上繰り返された朝の営みを行っている。
森の中で一際高く大きなシェニムの大樹は、いち早くフィクスムの光を浴びる。そのフィクスムの光を浴びた喜びに幅広く赤い葉を揺らす。その葉の揺れがそよ風を起こす。
シェニムの大樹全体が朝の光を浴びる頃になると、フィクスムのエネルギーを吸収した葉から、七色に輝く光の粒が地上へと降ってゆく。光がそよ風に揺れながら、大樹の下で寄り添うように眠る者たちに降り注ぐと、光を浴びた生物たちが朝の訪れを知り、次々に目を覚ましていった。
最初に目を覚ましたのは、シェニムの大樹を護る二本の脚で駆ける獣だ。
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