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「……レヴナントか?」
「ああ、しかもかなり厄介な種だ。 まさかこんなところでアヴォイドに遭遇するとはな……」
アヴォイドって確か、アシダカグモを巨大化させたような見た目のレヴナントだっけ。
見つかってもその場では捕食はされないが、ダンジョンに連れていかれるらしい。
なんとも恐ろしい化物である。
「まずいな……どうする、真司」
「どうするってそりゃあ、引き返すしか……! まずい、気付かれた!」
え?
「逃げろ逃げろ逃げろ!」
「くそっ!」
「気付かれたって、どういう……」
目の前を走り去る真司に尋ねようとした刹那。
「キシャアアアアア!」
目の前に降ってきた何かがグシャッと音を立て、血飛沫を上げた。
なに……これ。
肉の塊?
どうして急にこんなものが……それに顔に飛び散ったこの肉片と血はどこから…………ッ!
まさか……まさか……。
「うっ! ……おえぇぇぇぇ!」
その肉塊が第一班のメンバーだと気付いた瞬間、僕は吐瀉物を撒き散らした。
嫌なやつだった、僕をいつも笑ってきた嫌なやつだった。
大嫌いだった。
だからってこんな……。
「……ッ! なにしてる、結城! 早くそこから逃げろ! 逃げろおおおおおっ!」
「……!」
真司の訴えでようやく我に戻ったが、時既に遅く。
「シャアアアアア!」
恐る恐る振り向くと、そこには牙を剥き出しにしたアヴォイドの姿が……。
「う……うわああああ!」
殺される……このままじゃ殺される。
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
死にたくない、まだ死にたくない!
助けて!
誰か助けて!
「誰か……たす……」
恐怖のせいで声が上手く出ない。
どうしたら……どうしたら……と、腰を抜かしていた最中。
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