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「結城から離れろ、この化物!」
背後から銃声と珊瑚の声が木霊した。
珊瑚が助けに来てくれたのだ。
「この! このこのこのこのっ!」
珊瑚はアヴォイドに向けて連続で弾を撃ち込む。
しかし、アヴォイドには全く効いていない。
ダメだ、このままじゃ珊瑚まで殺されてしまう。
それだけは……!
「なんで……なんで効かないのよ、ふざけん……!」
「キシャアアアアア!」
「あ……」
珊瑚に向かって、アヴォイドが飛びかかる。
その瞬間、僕は咄嗟に足元に落ちていたガラス片を拾い、そして──
「やめろおおおおおっ! うああああっ!」
気付いた時には、アヴォイドの目にガラスを突き刺していた。
「シャアアアアア!」
目玉を貫かれては流石のレヴナントも耐えられないのか、数歩後ずさり、僕を引き離そうと身体を揺らす。
とんでもない力に油断するとすぐ放り投げられそうだ。
それでも僕は耐え、ガラス片を更に深く突き刺していく。
たとえガラスで手を切ろうとも、アヴォイドの体当たりで骨が軋もうとも、珊瑚を助ける為、僕は耐え凌いだ。
しかし、所詮は人一人の力。
「珊瑚、今だ! 逃げ……え?」
「結城……? いやああああ! 結城ぃぃぃ!」
アヴォイドの力に耐えきれなかった僕は、吹っ飛ばされた挙げ句、大地の裂け目に落下していくのだった。
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