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終われない
「う……」
目を覚ますと、不思議な光景が広がっていた。
星空のように瞬く天井、人工物かのように理路整然としている土壁、円形の部屋。
どれを取っても見覚えのないものばかりだ。
「なんだここ……洞窟か? なんでこんなところで寝て……つっ!」
頭でも打ったのだろうか。
思い出そうとする度にズキズキ痛む。
「……ダメだ、何も思い出せない」
何かとてつもない出来事が起きた気がするが、頭痛が邪魔をして思案に耽る事すら出来なさそうだ。
こうなったらしょうがない、痛みが引くまで周囲の安全確認だけでもしておくとしよう。
レヴナントが近くに潜んでないとも限らないしな。
──一通り確認してみたところ、幾つか面白い事実が判明した。
どうやらこの部屋には出口が一つしか無いらしく、天井も土壁に覆われているようだ。
とはいえ、まっ暗闇という訳ではない。
その理由は恐らく、天井や周囲の壁に埋まっている光る鉱石のお陰だろう。
これのお陰で部屋が結構明るい。
非常に大助かりだ。
助かると言えばもう一つ。
この鉱石、部屋の外の土壁にも埋まっているようで、通路の視界もなかなかに良好。
何やら奥の方から獣らしき唸り声や足音が聞こえて来るのが気がかりではあるものの、これなら回避しながら進むのも可能かもしれない。
というか見つかったら確実に詰む。
ハンドガンが通用するなら話は別だが。
「……一応ちゃんと動くか確認しておこうかな。 いざという時に使えないんじゃ話にならないし」
ついでにリュックの中身も確認しておこう。
まずは標準装備のハンドガン。
「銃弾は12発で、予備弾丸は無し。 安全装置も……うん、問題なさそう」
予備弾丸が無いのがやや不安だが、あり物でなんとかするしかない。
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