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────愛の目が見れなかった。 翌日、私を迎えに来てくれた愛。愛は体調が戻ってきているのか顔色は良くなっていた。 私を後部座席に乗せた愛は、「おはよう」と笑う私を見て「どうかしたか?」と顔を傾けた。 いつも通りの顔をしているはずだった。 心配かけないように。 それでも洞察感がある愛にはすぐにバレてしまう。 「分からない……、愛の風邪うつっちゃったのかな」 静かに笑えば、愛は眉を下げ「看病、悪かったな」と頭を撫でながら私を引き寄せた。 「…もう平気?」 運転手はカーテンで見えず。私はすんなりと愛の肩に頭を預けた。 「ああ」 「そっか、よかった」 口を開ける度に、唇がヒリヒリした。昨日家に帰ってから、ずっとずっと唇を洗っていたせい。歯磨きも、何回も何回もした。出血もして歯茎が痛いくらいに。 「体調、悪くなったら連絡してこい」 「うん……」 「今から戻るか? 家に」 「ううん……」 できればずっと、このまま、愛と過ごしたい。 「愛……、あのね」 「ん?」 「昨日の夜、寝付けなくて」 「寝てねぇの?」 「うん、だから……今日はこのままホテル行っちゃダメ……?」 私の作戦……。 甘えるように愛を上目遣いに見つめれば、愛は私の頭を撫でながら「…わかった」と呟いた。 私には優しくて甘い男。 ごめんなさい……。 ごめんなさい愛。 私は昨日、藍さんとキスしてしまった。 途中でコンビニへより、飲み物とお昼ご飯を買った。 ホテルにつき、制服姿のまま愛を連れてゆっくりと寝転んだ。心配そうに見る愛は、昨日、私が藍さんと会っていたことを知らない。 「病院、行った方が良くねぇか?」 熱を確かめるためか、私の額にふれる愛を引き寄せた。 「大丈夫……、寝てないだけだから。愛もこっち来て欲しい」 座ってたままの愛は、腕時計を外すと私の横に寝転んだ。寝転んだまま眼鏡も外した愛は「寝れそうか?」と優しく呟いてくる。 「愛?」 「うん?」 「キスしてもいい?」 「え?」 「大好き愛…………」 愛は一瞬戸惑っていたけど、愛は私の誘いに乗った。やっぱり、愛がいい。藍さんよりも……。 「どうした? お前、今日変」 「寂しかった」 「……」 「いや? するの。愛に抱きしめられたい……」 腕をつき少しだけ上半身を起こし、前かがみになっている愛に今度は自らキスをした。私に答えてくれる愛は、舌を絡ませていく。 愛……。 愛……。 ごめんなさい。 ごめんね。 騙して、ごめんなさい…………。
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