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――それから二ヶ月後。
ユウと大塚が毎日世話をしたおかげで、ミニひまわりは立派に咲き誇っていた。
「大塚さん、これから治療を始めます」
大塚の魂は、ユウが今まで看た中で、過去最高に弱っていた。
早急に治療しなければ……。
そう判断したユウは、たくさん咲いたミニひまわりの一つに手をかざしてエネルギーを吸い取った。そして次に大塚の肩に手を置く。
暖かな春の日差しのような光が大塚を包み込んでいった。
光が小さく収束し、大塚が姿を現わすと、なんと彼は若かりし頃の姿に戻っていた。
「こ、これはいったい」
大塚は服の中を見たり、グイッと振り返って背中をみたりした。そして何が起こったのか分からないという目でユウを見た。
「奥さんに逢いに行かれると思いますので、魂の治療をすると同時に若返ってもらいました。これで、天国に昇れるかと……」
「何から何まで、本当にありがとう」
「いえいえ。元気になってもらえれば、僕はそれだけで嬉しいです」
それと……。ユウはミニひまわりに手をかざし、何本か抜き取った。
「本来は、棺桶に入れたもの以外、天国へ持っていっていけないという決まりがあるのですが……。今回に限り、特別です」
奥さんへのお土産にどうぞ、とユウはミニひまわりを数本花束にして渡した。
「これ、持っていけるのかい?」
「はい。特別な加工をしたので、持っていけます」
「――ありがとう。妻もきっと、喜ぶよ」
大塚はそう言って微笑むと、静かに天国へと旅立った。
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