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「ハロウィンなのに……。誰も私たちが本物だなんて気づきもしませんよ」
「気づかれたらどうするの。お説教じゃ済まないのは分かってるんでしょ」
「それは分かってますけど……」
最初の勢いはどこへやら、ニコアはボソボソとした声で答える。
ミシルは仕方なさそうにため息を吐いた。
「はぁ、もう、分かった……」
「え?」
「あたしも一緒に行ったげる。どうせあたしがどれだけ止めたって、あなた勝手に行くでしょう。何かあったときは連帯責任なんだから、あたしが行っても行かなくても同じことでしょ」
「ぐっ……」
ニコアは言葉に詰まって俯く。
それを見たミシルは苦笑いを零した。
「で、でもそれって、行ってもいいってことですよね!?」
気を取り直して顔を上げたニコアは、目を輝かせてミシルに詰め寄る。
ニコアに詰め寄られた分だけ身を引いたミシルは、ひきつった笑みで早まったかなと思った。
「ほんと、調子いいんだから……」
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