ハロウィン

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「しゃ、写真はちょっと……。でも褒めてくれてありがとうございます。こだわりはこの羽なんです」 ニコアは無邪気な笑みを浮かべて羽を見せた。 「たしかに本当に背中から生えてるようにしか見えない!」 「手触りよさそうだねっ」 「はい、ふわふわでこの羽を毛布代わりにしたらとってもよく眠れますよ!」 ニコアは自分の羽を触りながら目をうっとりさせる。 実際にニコアが寝ているときのことを思い出しながら話していたせいだ。 「え、何それいいね! どうやって作ったの?」 「ふふふ、企業秘密です!」 「えぇ〜、ちょっとくらいお姉さんたちに教えてよ〜」 今にも本物の羽だと話してしまうんじゃないかとヒヤヒヤするミシルの隣で、ニコアは愛想良く笑っている。本当のことは話さず、だけど相手を嫌な気にはさせず、むしろもっと興味を引かせるような話し方をしていた。 上手いものだ、と思い安心したミシルは、改めて人込みを眺めた。 そこでミシルはこの会場にちらほら人間以外が混ざりこんでいることに気が付いた。 天使と敵対している悪魔がいるということにも。 深淵を覗けば深淵からも覗かれているとはよく言ったものだ。 悪魔の方もミシルとニコアの存在に気が付いた。 この場で悪魔と戦うのはマズい。 ミシルの背筋には冷たい汗が流れ、今すぐにでもこの場を離れたくなった。
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