ハロウィン

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「ニコア、そろそろ……」 ミシルはニコアの耳元で声をかける。 「えぇ、もうちょっといいじゃないですか。このお姉さんたちの衣装、手作りなんですって。すごくないですか?」 「それはすごい。けれどこっちも時間が……」 ミシルの気がかりなど露知らず、ナースとポリスたちも「もうちょっといいじゃーん」と引き留めてくる。 ミシルはそれに苦笑し、適当に考えた言い訳を口にした。 「申し訳ない。実はこの後知人と待ち合わせをしていて……そろそろ時間がせまっているから」 ミシルは言いながら視線をチラチラと後方に向ける。 知人との約束などないことを知っているニコアは、ミシルの視線の先を追った。 玩具を見つけた子どものような楽しそうな笑みを浮かべ、こちらに一直線に近づいてくる悪魔が1人。それに気が付いたニコアはミシルの言葉に乗った。 「そ、そうでした! 待ち合わせがあるのを忘れていました! すみません。声をかけてくれてありがとうございました。お話、楽しかったです!」 「えー、マジで行っちゃうの? まぁ約束があるなら仕方ないか」 「そうだね。またどこかで会えたら話そうねっ」 ニコアたちが後ろを気にする素振りが、人間たちには待ち合わせを気にする仕草に見えたのだろう。 ナースとポリスはあっさり手を振って見送ってくれた。
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