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堤さんは少し考えるようにしながらスマホを見たあと、いくつかのリノベ物件を教えてくれた。
「明日行け、ってことではないから。一日中ボーっとしていてもいいし…それは難しい?」
「ろうそくを眺めてボーっとしてることはありますけど」
うんうん…と頷いた彼は
「自分を殺すようなことはして欲しくないから…今、休みを取ったのはよかったと思う」
穏やかながらもはっきりと肯定してくれる。
彼のこの寄り添う癒しの感じというのは、最初の写真に少なからず責任を感じているからだろうか。
彼の言葉は時々私を包み込んで、ぽろりと本音を引き出すこともある。
「写真を撮った人とDMの差出人は、同じ人ですかね?」
堤さんにもわかるはずない質問をしてしまった…
「俺も考えていたけど…そうなると、写真が始まりじゃないということになる」
ホントだ…あの写真から、とばかり思っていたけど。
「ちょっと気になることはまだあって、でもちゃんとした結果で阿部さんには知らせたいと考えてる。不確かな仮定を耳にしたところで、悩ませるだけになりそうだから」
「ありがとうございます…根拠のない大丈夫を聞かされるより……予想で話をかき回されるより…ここまで時間がかかってしまったのだからもう少し待つことは出来ると思います。堤さん自身が動いてくださっていることが信じられないくらい…」
うちの会社は何をやってるんだろう…白波瀬部長も“頼って”と言ってくれていたけど……それを支えに感じていたけれど、どう頼ればよかったのか…今ではわからないな。
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