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生徒会室にて
ここは朧宮学園。国内でも有数の名門の中でも一位、二位を争う名門男子校である。生徒会室では文化祭に向けて予算やデザイン案、多種多様な方向性の期限が迫っている。修羅場と化したこの室内では皆、根詰めて作業をしている。だが、そんな時耐えきれなくなったある一人の人物が動き出す。
「晴〜!疲れたよ〜!遊んで遊んで〜!!」
「わぁっ!よしよし後で遊んであげるからもう少し待っててね」
「え〜!今がいいのに〜……」
「う〜ん、それなら気分転換に少しだけ遊ぼっか」
お分かりいただけるだろうか?この可愛さ。この根詰め状態の空気を壊すような巫鬼 阿頼耶の可愛い無邪気さに、真面目で頑張り屋の生徒会長、光翔院 晴が押されているのだ。だが、阿頼耶が晴を引っ張ったのはそれだけでは無い。彼は度の過ぎた頑張りをしてしまう時がある。そんな彼に心配を見せないように引っ張っていったのである。だが、ここからが衝撃なのだ。
「晴〜!ぎゅ〜してよぎゅ〜!!」
「阿頼耶はかわいいなぁ。ぎゅ〜」
ここは、男子校なのである。だが、背の小ささに雰囲気の可愛さを見ていると、野郎同士でのハグには到底見えない。例えるならまるで小動物の戯れ。こんな可愛い平和な世界があって良いのだろうか……?良いのだ。
この二人の行動を、もう一度見てみよう。
「晴が作ってくれたお菓子が食べたいな〜!あ〜ん!」
「ちょっと待ってね?はいどうぞ」
そう言ってまるで餌を与えるかのように阿頼耶の口元にクッキーを差し出すと、サクサクとハムスターの様に食べ始める。大切な事だ、何度でも言おう。彼等は背は低いが高校生であり野郎なのだ。ぎゅーぎゅーしている二人を無償で見てもいいのかと不安になるぐらい微笑ましいのだが、こんなにこの可愛い生き物を眺めていて良いのだろうか……良いのである。
彼等のそんな行動を見て、生徒会の皆が手を止め、ある者は「てぇてぇすぎる……」と目頭を抑え、ある者は真顔で撮影を開始し、ある者はそれを楽しそうに傍観し、ある者はお茶の準備や休憩する準備しはじめている。
だが、そこに刺客が現れる。
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