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必然
ある者は絞殺、ある者は串刺しにし洗脳や蠱毒、施設壊滅……皆それぞれ罪を重ねているのだ。
時に、天使と言うのは美しい願いを叶えてくれる優しい存在と勘違いしている者も多いだろう。
だが、それは違う。聖書や天使を記されている本を読めば天使と呼ばれる者たちも殺害や理不尽な殺生、悪魔と呼ばれているもの達よりも殺した数が多い事なんてざらにある。
なら、なぜ天使と呼ばれる彼等は裁かれる事がないのだろうか?それは、正義と言う名目で虐殺を行っているからである。正しい事をしているから赦されているのだ。
だが、これが許されるのは天使だけで彼等は私が天使と言っているだけの人間なのだ。その判断が正しかろうと生きる為だろうと罪は罪なのである。そして彼等自身も罪を理解している為、悲惨な最後になる事は覚悟している者も多いのだ。
楽しそうにお茶会を開く彼等は一人の裏切り者……いや、天使によって殺される。
だが、そんな彼等にも救済の措置がある。天使によって殺された。また自らを死に追いやった彼等の体を一人の悪魔にささげる事で一定の時間まで戻り彼等を助ける事が出来るのである。
「楽しかったね!また優の紅茶飲みたいから俺達も呼んでよ!その時には優と天音と蒼天の同人誌作っておくから!」
光は優、天音、蒼天からの要らないという総ツッコミを受け月と夜に頭をはたかれる。名残惜しい中「また集まろう」そんなことを皆、口にしながらそれぞれの持ち場に戻っていく。
「あ、そういえば月讀先生の地域資料の相談って何だったんですか?」
天音は先程とは違う丁寧な口調で月讀に話かける。彼は真面目に会話をする時や教えを乞う時には教えてくれる人を「先生」と呼び丁寧な口調になるのだ。月讀は「ああ」と楽しそうに話し始める。
「とある村で死んだ人間達の能力についての資料なのだが、少しだけ不思議な事があってな。そこ文書の文字が見えなくなった文献を解析していると時間を操作できる刃物の様な物を作った人間がいたらしくてな」
「へぇ、そんな面白い物があるんですね」
「だが、それを奪い保管していた守旺条家からいつの間にか存在が消えていたらしくてな。一応ゴ神琴にも聞いたんだが、文献自体が嘘だったのではないかと一蹴されてしまってな。」
そこに、情報屋のような事をしている雨が「俺もその噂聞いた事あるッス」と言って話に入ってくる。彼の情報によると、それは刃渡り十センチ程度の刃物で命や血を吸って時間を戻すことが出来るナイフがあるという噂を耳にした事があるらしい。そんな楽しそうな話をしていると、水を差すように
「それより先にやる事があるよね?デカブツ紫野郎。お前のせいで仕事滞ってんだけど?」
「おい、月讀。仕事がまだ残ってんだ。早く終わらせるぞ」
「雨、そいつらに情報を与えるとろくな事にならないだろ」
流石に痺れを切らした那由多、夜、陽葵がそれぞれを回収する。だが、この三人は背が低いのもあり大人な対応をしているのにも関わらず、子供が大人に「こっち来て」してるようにしか見えないのがまた微笑ましい。むしろ私を引きずって欲しいものである。
そんな彼等を見て天使は願う「ずっとこんな日が続けばいいのに」と。そして、全てを見てきた悪魔は静かに呟く「文化祭でゲームオーバーかな」と。
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