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神代の二人
「ね、私、たくさんの綺麗なお花が見たくなっちゃった」
女は、野に咲く花々の、儚くも力強い生命力に心惹かれ、その優しいエネルギーに癒されたいと思い、男に向かってそっと呟いた。その言葉には、幾億年もの時を経てなお変わらぬ、純粋な憧れの色が宿っていた。
「君がそう言うなら、今すぐたくさんの花々をかき集めてくるよ」
そう言った男の声は、大地を震わせる程の力強さを持ちながら、女に向けられる時だけは蜜のように甘く溶けていった。彼は立ち上がると、天地の境界も見えぬほど広大な野原へと歩み出た。
男は、目に映るありとあらゆる花を刈り取っていった。清楚な白百合も情熱的な真紅の薔薇も、優雅に舞う桜の花びらさえかき集めた。それらの全ては女の笑顔を思ってのことだった。
そうして集められた花々は、まるで花の絨毯の様に辺り一面敷きつめられ、そこは花の香りで満ち満ち、その芳香は天界中を包み込むかのようだった。
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