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「でも、どうやって復讐しているのかな。私も未奈ちゃんたちにたくさんいじめられたから、未奈ちゃんに歌織ちゃんが復讐してるの見てみたいな」
アンジェリクは友達のいない日本に来て、未奈たちからのいじめにあっても誰に相談することもできずにいた。歌織の存在で救われていた面も多いが、その心に刻まれた傷は深いものであった。
「そういえば、何回か教室に歌織ちゃんがいるような気配を感じてるんだよ。逢いたいよ、歌織ちゃん」
その時、すべての着信を拒否しているはずの携帯電話が鳴動した。発信者名は歌織と表示されている。アンジェリクは震える指で通話をタップした。
し
「もしもし、歌織ちゃん」
そう呼びかけた次の瞬間、アンジェリクは意識を失った。
◇◆◇◆
アンジェリクが目を覚ますと、目の前には未奈の姿があった。やや曇ったフィルター越しのような視界に映る未奈は、ひどく怯えた表情で何かを叫んでいるが、アンジェリクには何も聞こえなかった。
ふとアンジェリクの右側から光る何かが見えたと思った瞬間、それは未奈の左肩に刺さり、赤黒い液体をばらまいた。左肩に刺さったモノは引き抜かれ、そのまま再度振り下ろされ、今度は未奈の腹部に刺さった。その後も未奈に向けて何回も振り下ろされる光るモノ。
アンジェリクは、ああ歌織ちゃんが未奈ちゃんに復讐しているシーンを私に見せてくれているんだと思った。もともと暴力的なことが苦手なアンジェリクは少し気持ち悪さを覚えながらも、歌織ちゃんの復讐を見たいという私の願いを聞いてくれたことに感謝した。
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