恋の蕾

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恋の蕾

恋を自覚してからみのりは涙を意識するように なってしまった。 休みの日も涙が何をしているのか気になって ラインをしてみるか否か悩む。 意を決してラインを送るとすぐに返事が返ってきて 嬉しくなる。 すでにみのりは1日中涙のことを 考えてしまうほど彼に恋をしていた。 みのりの恋心が花開く日は近い。 そんな日常にみのりは後ろめたさを感じ始めていた。 優斗くんが好きだったのに 弟の涙くんを好きになるなんて 天国の優斗くんに申し訳ない、と。 それを新しくできた友人、絵美に相談すると 彼女はふふふと笑った。 「まったく。みのりちゃんは真面目すぎるんだから」 「だって、なんだか乗り換えたみたいじゃない。 それに優斗くんの弟を好きになるなんて……」 「みのりちゃん。心配しなくても大丈夫よ。 わたしが優斗くんだったらみのりちゃんの恋を 全力で応援するもの。 彼だってそう思っているはずよ。 みのりちゃんには幸せになってほしいって。 みのりちゃん、頑張ってね。応援してるから」 最後の絵美の言葉にみのりは 胸がジーンとなるのを感じた。 みのりは中学校以来、 恋を相談する友人などいなかった。 そんな自分に友人ができ、 自分の恋を応援してくれるなんて 少し前の自分が聞いたら信じられなかっただろう。 「ありがとう、絵美ちゃん。私頑張ってみる」 みのりは電話の向こうの親友に向けて 笑顔を浮かべた。
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