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恋が花を開く時
その日、みのりと涙は勉強会という名目で
ファミリーレストランに来ていた。
「みのり、ここなんだけどさ」
涙がテキストの問題をシャーペンで指し
問題について質問をする。
みのりは顔が近づいたことでそれどころではない。
心臓が今までにないほど速く鼓動を鳴らしている。
「みのり?」
「あ、ご、ごめん!! ここはね」
我に返り、赤い顔のまま問題を解くコツを教えると
涙は納得したように何度も頷く。
「やっぱみのりはすげーな!」
そう言って太陽のように笑うあなたが好き。
みのりの恋の花がとうとう咲いた。
「好き」
気づくとその花が口から溢れていた。
慌てて口元を抑えるがもう遅い。
「え? 好き?」
不思議そうに涙が聞いてくる。
「い、いやなんでもなくって……」
「みのりがそう言うときは大体何かあるんだよ。
なぁ、好きってもしかして俺のことか?」
身を乗り出して聞いてくる涙に
動揺してみのりは目を泳がせる。
涙はニヤリと笑う。
「やっぱりな。
前々から怪しいって思ってたんだよな。
相沢のときも嫉妬してたし」
みのりは恥ずかしさに更に顔を赤くする。
しかし、意を決して口を開く。
「そうよ。私は涙くんが好き。
いつの間にか好きになってた。
あーもうっ! こんな形で言いたくなかったのにっ」
涙は一瞬だけ目を見開き幸せそうに微笑んだ。
「涙くんはどうなの?」
「俺? うーん。秘密」
「ちょっと! それはずるいよ!」
涙が笑うとみのりも釣られて笑った。
いずれ、2人が付き合うことになるのは
そう遠くない未来の話だ。
恋を育てて、実を結ぶ日、
みのりはきっと世界で1番幸せな花となるだろう。
(終わり)
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