正義と罪悪感の狭間

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正義と罪悪感の狭間

息ができないような苦しさに襲われて目が覚める。 まだ薄暗い部屋の中、みのりは 荒い呼吸を繰り返した。 最近はあの夢を見ることはなかったのに。 まだ動悸がおさまらない。 大丈夫。 私がちゃんとしてれば あんな事件は防げる。   そのために私は学級委員長になったんだから。 だから、ちゃんとしなきゃ。 真面目にやらなきゃ。 みのりは気持ちを落ち着かせるため階下に降りて コップに注いだ水を飲む。 水を飲むと少しだけ落ち着いてきた。 布団に潜り込み、目を瞑るが なかなか寝付けなかった。 翌日、ボーっとした頭で学校に向かい 自分の席に座る。 目の下にはクマがあり 疲れ果てたような表情をしていた。 「大丈夫か?」 声をかけてきたのは涙だった。 「青野くん……大丈夫かって何が?」 「自覚ないのか? 真っ青なカオしてっから。 保健室に行った方がいんじゃね?」 「……大丈夫だよ。 それより、青野くん。 いつも言ってるよね。その髪色は校則違反だって」 「うるせぇな。こんなときにも説教かよ」  涙はみのりの横の机に腰掛けた。 「ホントに大丈夫だから」 涙の顔が、体がボヤけていく。 あれ? どうして? 視界がぐるぐる回っているような感覚に まずいと思ったが遅かった。 「桜庭!!」 涙の声が遠くに聞こえ、みのりは意識を絶った。
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