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真実は
目が覚めると蛍光灯と白い天井が広がっていた。
「目が覚めたか」
その声に横を向くと涙が椅子に座って
みのりを見下ろしていた。
何?
何で私は保健室に?
そして、思い出す。
視界が暗転しそこからの記憶がないことを。
「そうだ、私倒れてっ!!」
勢いよく起き上がると涙が手で静止した。
「今は大人しくしてろ」
「でもっ、今日は
先生にみんなの課題を提出しなきゃ」
「お前なぁ」
涙が呆れたようにため息をつき、口を開いた。
「今は自分の体のことを考えろよ。
学級委員長だからとか、今はそんなこと
考えなくていい」
「……でも、私は
自分よりみんなの幸せを願ってるの」
黒い思い出がみのりの胸をよぎる。
「だから、頑張らなきゃ……」
「何言ってんだよ」
涙が勢いよく立ち上がり、パイプ椅子がガシャンと
音を立てて倒れた。
その表情は今にも泣き出してしまいそうに
歪んでいる。
「自分を蔑ろにするなんて
バカのすることだ!!!!」
声を張り上げる涙にみのりは目を見開く。
こんな涙は教室でも見たことがなかったから。
だけど、どうして。
みのりは歯を食いしばる。
「どうして? 私は皆のために頑張ってるのに
なんで、そんなこと言うのよ!!
わたしはもう優斗くんみたいな
犠牲を出したくないだけなのにっ!!!」
思いの丈を投げつけて肩で息をする。
涙は何も言わず、
ただ目を見開いてみのりを見つめている。
「……まさか、優斗って長谷川優斗のことか?」
「え?」
涙の驚いたような様子にとまどう。
「そうだけど……
何で青野くんが優斗くんを知ってるの?」
涙はハッとしたような表情になるが頷いた。
「長谷川優斗は……俺の双子の兄貴なんだよ」
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