第壱章 ~Destined encounter~ / 第1話 ~冥王界~

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 というか、名前教えちゃって良かったの!? この人は、一体……?  あたしは、土の壁と襖で四方を囲まれた狭い和室を見回した。けれど、和室に絶世の美少女が居るという情報以外は、何も掴めない。 「貴女は……ッ」  ガタンッ!! ドンドンッ!!  名前を聞こうとしたあたしの声は、突然の物音によって遮られた。  こ、今度は何……!? 「嗚呼(ああ)、来たか」  音のした方に鋭い視線を送り、彼女は僅かに声のトーンを落としながら呟く。 「……実は僕、追手に追われているのです。ここに居れば巻き込まれるゆえ、萌華殿は逃げて」  ――僕?  自分のことを「僕」と言ったその美少女は、あたしに背を向けて美しい金の刀を抜いた。  とにかくこの人の言ったように、逃げた方が良いよね? 彼女が言う「追手」は、あたしを狙っているわけじゃなさそうだけど……。
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