12人が本棚に入れています
本棚に追加
というか、名前教えちゃって良かったの!? この人は、一体……?
あたしは、土の壁と襖で四方を囲まれた狭い和室を見回した。けれど、和室に絶世の美少女が居るという情報以外は、何も掴めない。
「貴女は……ッ」
ガタンッ!! ドンドンッ!!
名前を聞こうとしたあたしの声は、突然の物音によって遮られた。
こ、今度は何……!?
「嗚呼、来たか」
音のした方に鋭い視線を送り、彼女は僅かに声のトーンを落としながら呟く。
「……実は僕、追手に追われているのです。ここに居れば巻き込まれるゆえ、萌華殿は逃げて」
――僕?
自分のことを「僕」と言ったその美少女は、あたしに背を向けて美しい金の刀を抜いた。
とにかくこの人の言ったように、逃げた方が良いよね? 彼女が言う「追手」は、あたしを狙っているわけじゃなさそうだけど……。
最初のコメントを投稿しよう!